ポスター発表の心得

プレゼンのコツ

ポスター作りのコツ

今後に繋げるコツ

ポスター作りのコツ

  ポスター発表に適したポスターとは、内容は元より、次のことが言えると思います。

「聴衆の目に留まり、聴衆が足をとめてくれるポスター」

  ではどうすれば目に留まるのか?足を止めてくれるのか? 興味を持つ研究内容というのは聴衆により異なれど、「惹かれるポスター」には共通したポイントがあると思います。
  レイアウトの技術的な話はデザインの専門家に譲るとして、ここでは「惹かれるポスター」について聴衆の一人として感じる共通点を、ポスター作りのコツとして紹介します。


学会規定でサイズや掲示方法の仕様を確認しよう

  サイズ上限や掲示箇所等の仕様によっては、1枚ものにするのか、或いはあえて複数の紙面に分けた体裁をとるかなど、形式の選択肢も変わります。

  もちろん、限られた紙面を更に狭めるようなメリットはないと思いがちですが、聴衆に対する視覚的効果という意味では、タイトルが際立つような文字色・背景色にして、あえてタイトルと内容の用紙を分ける(別々に作る)方法や、 紙面を分ける事で視覚的に(視線の)動線を作る方法、読みにくくなったり内容に不足が生じない範囲なら、あえて許可されたスペース(ボード等)より小さめにする方法などもあります。

  例えば、ボードなら縁ギリギリまで目一杯に用紙サイズを設定する人をよく見かけますが、仮に無駄な余白が多いポスターであれば、かえって内容が薄く見えたり、バランスの悪さが発表者自身のイメージにまでマイナスの効果を及ぼしてしまうことがあります。
  レイアウト上で余裕が出来るようなら、無理にボードいっぱいのサイズにするより、適度な余白でコンパクトにした方が、逆に見やすくなる場合もあります(もちろん内容・情報量によります)。

  ただし、口頭発表のスライドを貼り合わせただけのポスターでは、魅力的なものとして聴衆の目に映る事はないと思います。


ポスター発表の方法を先に決めよう

  漠然と「研究内容をポスターの紙面内にまとめる」と考えると、限られた紙面ゆえに情報の取捨選択で苦労するほか、その結果、詰め込みすぎたりと情報量のバランスや過不足が生じてしまえば、聴衆に対して「最も伝えたい事」がボヤけてしまったり、全てが半端になってしまうリスクもあります。 そこで、ポスターの作成を始める前に、ポスター発表の方法として、「プレゼンの仕方」についてコンセプトを先に決める事をお勧めします。

  ここでいうプレゼンの仕方とは、大きく分けると2つあります。 1つは、「研究内容の全体は発表者が説明し、ポスターはその要点を説明した資料」とする方法。 もう1つは、「ポスターで全体の大まかな内容が分かるようにし、発表者が各要点を説明する」という方法。 この2つの方法は、参加する学会の性格、参加する聴衆の層を考慮して使い分けるのも効果的です。

  例えば、研究内容の背景について知識に明るい聴衆が多くいるようなポスター発表の場なら、より深く技術的な部分の説明を重視したポスターが良いだろうし、 逆に専門的な知識を持たない層が多いような場が予想されるなら、細かい技術的な説明より、各論を簡潔かつ全体の視覚的な見栄えを重視した方が良いなど。
  明確なコンセプトを先に決めると、掲載内容の取捨選択に一貫性が生まれ、見やすく・伝わりやすいスマートなポスターが作れる確率も確実に高まります。

  もちろん、発表者が常にポスター前に立っていられるとは限りませんので、「ポスターだけで全体の流れと各論の要点が簡潔に把握でき、かつ完結していること」に越したことはありませんし、内容についてはそれが目指すべき理想の形となります。


タイトルは「研究内容が一目で分かる」言葉にしよう

  ポスター発表の会場は、規模によりますが何百枚、時には何千枚からのポスターが並びます。
「聴衆は1枚1枚じっくり見るのではなく、目に留まった瞬間に興味を持ったポスターにしか足を止めない」と心得て、タイトルは一目で研究内容が分かる言葉にしましょう。

  改めて書くと誰でも知っている当たり前の話になりますが、焦点を絞り込んだ表現をするというのは思った以上に難しく、往々にしてタイトルが長くなってしまう例も枚挙に暇がありません。
  タイトルを考える際のコツは、「目的+キーワード」で、「極力短く」です。 特にポスターの場合は、論文や研究報告書などの冊子媒体とは異なり、シチュエーションの性格上、また、紙面の関係上、 距離を考慮した大きさや文字数に対し、よりシビアに配慮しましょう。


「簡潔な情報量」と「見やすいレイアウト」にしよう

  発表者なら、誰もが自分の研究内容をより深く、より詳しく理解してほしいもの。 しかし、半年や1年、或いはそれ以上の時間をかけた研究内容を、限られた紙面に全て詰め込むのはそもそも不可能です。 出来るだけたくさん伝えようとして詰め込みすぎると、読みにくい・見にくいポスターになります。
  「口頭発表のスライドの羅列では説明不足、論文のような詳細の長文では情報過多」と心得て、 最初に決めた発表方法に基づき、論旨・論理展開上で不可欠となる必要最小限の要点やデータのみを示しましょう。

  一つのポイントとして、作成者本人は内容を知っているので「分かり難さ」に気付きにくい側面があります。 逆に、読めば分かる「分かり易さ」があっても、初めてみる方には「見やすさ」や「読みやすさ」が欠けている事もあります。 タイトルも同様ですが、会場で見る場合の距離に相応しい大きさや文字量なども考慮し、全体を「絵(画)」として捉える視覚的な「見やすさ・読みやすさ」を重視しましょう。

  極端な話ですが、足をとめてくれたなら補足説明は後からでも出来ますので、まずは聴衆に足を止めてもらうことが肝要です。つまり、短時間で伝えたい要点、最も重要な点は抑えなければなりませんが、「詳細さ」より「見やすさ・読みやすさ」を優先すべきと言えるでしょう。


PowerPointで作成する場合はサイズ設定に注意しよう

  学会用のポスターは、印刷会社に外注するという方が殆どだと思いますが、その入稿用のデータ作成にあたり、スライドの作成等で使い慣れた PowerPoint を利用する方も多いと思います。

  PowerPoint というのは、モニター上でのプレゼンを前提としたソフトのため、デフォルトのサイズ設定が「画面に合わせる」になっており、 仮にA1やA0を選択しても、実際には一回り小さい数値になってしまうので注意が必要です(例えば「A0」なら正しくは「841mm×1,189mm」ですが、自動入力だと少し小さめの数値になります)。
  そのため、最初にサイズ設定を行う際に、Windowsの2010・Macの2011以前のバージョンなら「デザイン→ページ設定」から、 Windowsの2013では「デザイン→スライドのサイズ→ユーザー設定」から、それぞれ作成するサイズの数値を「必ず手動で入力」しましょう。

  また、PowerPointで設定できるサイズ上限は最大で「1422mm」なので、一辺でも「1422mm以上」になる場合は、 仕上りサイズと同じ縦横比で縮小したサイズ設定で作成しましょう。
(例:「1000mm×2000mm」の印刷用データをPowerPointで作りたい場合は、「700mm×1400mm」にサイズ設定してから作成するなど)

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