ポスター発表の心得

プレゼンのコツ

ポスター作りのコツ

今後に繋げるコツ

今後に繋げるコツ

  自身のポスター発表が成功か否かを考えた時に、その成否を分ける要素は、「プレゼンの出来(自身の研究内容がうまく発信できたか)」だけでなく、もう一つ、次のことが言えると思います。

「自身にとって、今後に繋がる発表の場になったかどうか。」

  当サイトのトップページで、ポスター発表の目的は『伝える事(=内容や自分自身を「知ってもらう」「興味を持ってもらう」「関心をもってもらう」こと)』だと書きましたが、伝えたいものに「内容」だけでなく「自分自身」も含んでいる通り、ポスター発表の場を終えて、自身にとって有意義な議論であったり、或いは自分という研究者に興味を持ってくれる先達者との出会いがあったり、その知己、人脈を得る機会が得られたならば、これ以上ない財産となるでしょうし、仮にプレゼン自体に満足が行かなくとも、より大きな成果をそこに見いだせる事と思います。

 つまり発表の会場は、全体を通じて他の発表者・参加者との交流を深める最大のチャンスとなりますから、交流・人脈作りについても前もって意識しておきたいところです。そこで、積極的にアクションを起こしたい幾つかの例を、今後に繋げるコツとして紹介します。


ポスター発表の前に準備・持参をしていこう

  ポスター発表の当日を迎える前に、名刺は必ず準備しておきましょう。これは言うまでもなく、連絡先の交換がいつでも出来るようにです。ただし、交流を深めるチャンス、人脈を広げるチャンスといっても、自分から名刺交換を切り出すことは中々に難しいかも知れません。そしてそれは、相手にとっても同様です。

  そこで、必ずやっておきたい一つの準備・対策として、発表用のポスターの中にも、必ずメールアドレスを記載しておきましょう。 そうすれば、少なくとも興味を持った方が、後から自分に連絡をとりたいと考えた時、その手段を自然に提供しておくことが出来るので有効です。むしろ発表者の連絡先が分からないでは、理屈からすると失礼にあたるとも考えらえます。

  また、発表用のポスターをA4サイズにした、「ポスターの縮小版」も準備しておきましょう。これは、次に改めて述べますが、必ず準備しておくべき価値があります。
  さらに、発表内容に関連する自著などをお持ちの場合は、当然それも興味をもってくださった方へ自分をアピールする大きな武器になるので持参しておきましょう。


自分から進んでアクションを起こそう

  聴衆は、限られた時間の中で少しでも多くのポスターを見たいはずなので、自身の発表に無理に引き留めてはいけませんが、中には関連研究の方や、有意義な関係になると思える方など、今後も連絡を取り合いたと思う方がいるかも知れません。 その場合は、上で書いたように事前に準備した名刺や、ポスターの縮小版、自著を渡すなど、積極的にアクションを起こしましょう。

  また、どのようなタイミングで渡せば良いのか、不慣れだとよく分からない方や、自分から声をかけるのは恥ずかしいという方もいるかも知れませんが、最もさりげなく自然に渡せるタイミングは、おそらく自身の発表時であれば、聴衆である方の「去り際」だと思います。その時も、何か特別な声をかける必要はなく、基本的には「興味をもって頂いてありがとうございました」などの一言や、その気持ちを込めた一言を添えて渡せば十分だと思います。
  また、足をとめた事を後悔しているような方でなければ、その時に自分の名刺も渡してくれると思いますので、それだけで連絡先の交換が成立します。

  なお、誰しも覚えがあると思いますが、名刺はすぐには捨てづらく、持ち帰ってもらう効果は高いのですが、一度しか会っていない相手、或いは一日で複数の人間と交換したような場合、名前と顔、さらに発表内容までは中々覚えていられないものです。そして、個人としての印象が弱ければ、連絡をとるための行動に移る確率も、比例して弱くなると考えましょう。 その点、ポスターの縮小版であれば、一目で研究内容も分かるし、交わした言葉や発表者の顔も印象深くなり覚えてもらいやすくなります。さらにメールアドレスの記載があれば、議論の続きを行う機会を設ける事もできます。
※名刺を頂いた場合は、その方の特徴や交わした会話を思い出せるようなキーワードなど、周囲の目に触れない範囲で、自分の為の一言メモをいれておくのも良いと思います。
  そして、連絡先の交換ができた場合には、先方が落ち着いた頃、大体は数日後ですが、「先日はありがとうございました」と簡単な挨拶文のメールを送るのが良いと思います。とにかくアクションは常に「自分から」を心がけましょう。


聴衆として他の人の発表を拝見・拝聴しよう

  数日間に渡るような学会では、他の人の発表も積極的に拝見・拝聴しましょう。自分の関連研究なら勿論ですが、出来れば、「目立つ」「気になる」ような発表や発表者を見つけたら、仮に研究内容が多少離れていても、積極的に足をとめる価値があります。

  声の大きさ、説明のテンポや長さ、質問の受け方、促し方、ポスターの作り方など、参考にすべき点は多々あります。 なぜ自分が惹かれたのか、そして良いと思った発表は、いったい何が良かったのか、逆に退屈・不快だった発表は何が悪かったのか、 字の大きさ、色の使い方、図の使い方、レイアウト、分かりすいポスターと分かりにくいポスターでは、どこが違ったのか。これらは作成時に頭で考えるよりも、実際に多くの発表を拝聴し、ポスターを拝見した方が数倍分かり易いと思いますので、これらを意識して臨み、次回の発表に活かしましょう。

  このようにして、次の発表の機会に、より完成度の高い発表を行うコツを知る事、今後の自身の研究について議論・支援をしてくれる知己・人脈をえること、これらの一つでも得ることが出来れば、ポスター発表を終えた時に、その発表は成功したと胸を張っていえるでしょう。

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